【株式会社ほっとナビ様 インタビュー】 

2023年3月、株式会社ほっとナビ(本社:大阪府大阪市中央区) 代表取締役 阪本 勝様にインタビューをさせていただきました。

株式会社ほっとナビ様は、心の悩みやうつ病、認知症といった精神疾患の訪問看護に特化したステーションです。

大阪、奈良、東京に事業所として16 拠点運営されています。

株式会社ほっとナビ様は、経済産業省が制度設計した『健康経営優良法人2023』に認定されました。

人を大事にされる経営が伝わってきたので お話をお伺いしてきました。(以下敬称略)

株式会社ほっとナビ様(代表取締役阪勝様 )

ほっとナビ訪問看護ステーションHP

https://hotnavi.co.jp/

株式会社ほっとナビ訪問看護ステーション
株式会社ほっとナビ訪問看護ステーション

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緒方:精神科に特化した訪問看護ステーションを始めたきっかけについて教えていただけますか?

阪本:私たちは、8年前に精神科に特化した訪問看護ステーションを始め、現在は大阪を拠点に奈良、東京を含む16拠点で事業を展開しています。現在は看護師は、100名程度在籍しています。

私自身は、もともと金融機関で融資などの部署で働いていました。そこで働いていたときから、メンタルヘルスの重要性に気付く出来事がありました。

精神的な病をお持ちの方やそのご家族の困りごとをみていて、退院してからが大切だと感じました。そこから精神科に特化した訪問看護の事業を立ち上げたのです。

現在は東京、大阪、奈良で16拠点を展開しています。

緒方:人手が少ないことによる離職が少ないと、おっしゃっていましたね。スタッフを大事にすることが関係しているのでしょうか?

阪本:そうですね。長く勤めてもらえるように、スタッフの働きやすさにはこだわっています。例えば、平日は朝8時30分から夕方5時30分までの勤務で、残業がないように人員を確保しています。また、土日祝日は完全に休みなので、プライベートの時間をしっかり確保できます。

当社では、精神科の経験の有無にとらわれず、意欲がある人にはチャンスを与え、教育センターを用意して教育にも力を入れています。医師も役員に迎えて、教育や在宅医療などを展開していく予定です。

採用については、人材紹介サイトではなく自社のホームページの公募で採用しています。まだ改善しなければならない点もありますが、少しずつ成長しています。

緒方:多くの医療機関は人材紹介サイトを利用していますが、その経費を内部の待遇や教育に還元し、働く人が安定して辞めずにいられる環境を整えることが大切だと思います。阪本様の会社では、自社で公募を行い、健全な資金運用をしているとお聞きしました。他の医療機関と何が違うのでしょうか?

阪本:私たちは、自社で必要なインフラを整え、スタッフに心理的安全性を提供することを目標としています。この事業を始めた目的を常に意識して、地域社会に必要とされる在宅医療を目指しています。スタッフが安定して働ける環境を整えることが重要で、常に採用のタイミングも考慮しています。

各事業所では、一人の看護師が1日に回る上限件数を設け、人員不足による事故を防止するため、〇%を超えたら採用するルールを定めています。助け合いの精神を持ち、ドミナント形式での運営をしており、必要に応じて複数のステーションが協力し、安心して連携を取ることができるようになっています。東京には世田谷、新宿、中野の3つの拠点があり、どこからでも電車で10分ほどで行くことができます。事業提供の安定と安全性を確保するために、拠点展開をしています。また、スタッフには有給休暇を積極的に取ってもらうように呼びかけています。

緒方: 聞けば聞くほど、人に優しい組織だなと思います。働く看護師のモチベーションに変化は感じますか?

阪本: 仕事へのモチベーションは人それぞれで、大きく4つに分けることができます。それは、休み、やりがい、待遇、人間関係ですね。当社の看護師の年齢層は20歳から50歳まで幅広く、それぞれに大切にしていることがあるので、その点を考慮しています。現場で困っていることは、役員に上がってくるようにしています。知識だけでなく、24時間体制などの課題もありますが、できることの積み重ねで、まずはスタッフが安心して働ける環境を整えることが大事だと考えています。

緒方: 教育センターについて、もう少し具体的に教えてください。

阪本: 当社は、入社時に合わせて教育の機会を設けています。精神科に特化したステーションには経験がない看護師もいるので、教育センターの主任と精神保健福祉士がOJT(※)しながらサポートしています。毎月一回、各ステーションで勉強会も開催しており、教育センターは、まだまだ充実させたいと考えています。将来的には、疾患の特徴に合わせたeラーニングなども検討しています。

緒方: それは素晴らしいですね。スタッフの関係性ができた上で、それぞれの内発的動機付けが生まれることを意識されていますか?

阪本: 当社では、職種間の壁を取り除き、報酬的にも満足して働いてもらいたいと考えています。スタッフが働きやすい環境を作るため、仕事に関連するメンタル面でもサポートしています。また、パワハラやセクハラに関する研修や相談窓口も設けています。スタッフが働きやすいと感じてくれることは、私とってもとても嬉しいことです。

緒方: 聞いていて、そのような事業所、医療機関はあまり多くないと思うのですが、そのような思いのベースになるものはありますか?

阪本: 会社は自分のものと思っている経営者はいるかもしれませんが、実際はみんなのものです。私自身も、会社をつくる難しさを経験してきました。私がいなくても回っていく組織を目指しています。また、大手の経営者と出会い、教えてもらったりして、今後は公の会社にしていきたいと思っています。そして、経済産業省に制度設計され、日本健康会議が選定する『健康経営優良法人2023』に認定されたことも、企業価値として積み上げていきたいと思っています。

経済産業省 健康経営優良法人2023
経済産業省 健康経営優良法人2023

相手が動きたくなるような意味のある目標やビジョンは、経営者が相手に丁寧に伝えることが大切だと思います。人が動く時には動く理由が必要です。

何のために、誰のために動いたのか、そしてどんな意味があるのかを明確に伝えることが重要です。

私自身が、誰よりも情熱を持ち、懸命に取り組む姿勢を見せることで、スタッフたちに行動してもらいたいと思っています。

今後も、スタッフたちが心身ともに健康で、各自がブランドを磨ける環境を創り出し、在宅医療の発展に繋がるよう、取り組みを継続していきます。

(※)OJTは「On The Job Training」の略。 先輩社員が後輩に対し、業務に必要な知識やスキルを実践しながら伝承する、というやり方です.


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お話を伺って

株式会社ほっとナビ様では、経営者がスタッフのメンタル面をサポートし、スタッフの幸福感を優先する姿勢が溢れていました。

企業と医療機関に共通するのは、人々に寄り添い、そのニーズに合わせたサービスを提供することが重要であるということです。優しい組織文化がある企業や、患者さんに寄り添う医療機関は、人々からの信頼を得ることができ、結果として成功していくことと思います。株式会社ほっとナビ様のますますのご発展をお祈りいたいたします。

この度は、ありがとうございました。

投稿者プロフィール

緒方智美