ネガティブ感情を正しく知ることの大切さとは?医療現場での活用と自分自身のケア方法
医療や看護、介護の現場で働く方々は、日々多くのストレスや感情に直面しています。
特に、ネガティブな感情が強く影響を及ぼす場面も多いのではないでしょうか。
今回は、「ネガティビティバイアス」と呼ばれる脳の特性と、それをどのように日々の業務や自己ケアに役立てるかについてお伝えします。
ネガティビティバイアスとは?
人間の脳には「ネガティビティバイアス」という特性があります。
これは、ポジティブな出来事よりもネガティブな出来事や情報に強く反応し、目が向きやすくなるというものです。
これは私たちの進化の過程で身についた生存本能の一部であり、危険やリスクを避けるために役立つものです。
特に、医療や看護、介護の現場においては、このネガティビティバイアスが非常に重要です。
患者さんや療養者さんの小さな変化や異常をいち早く察知するためには、このバイアスが役立っています。たとえば、患者さんの容態が急変した場合、すぐに対応できるのは、この特性が働いているからです。
しかしながら、このバイアスが強くなりすぎると、問題も生じます。
ネガティビティバイアスがもたらす影響
ネガティビティバイアスが優位に働きすぎると、自分自身がうまくできなかったことばかりに目が行ってしまったり、人の些細な言動にいらだちを感じたりしてしまうことがあります。
さらには、不安や恐れに心が支配され、気持ちが沈みがちになってしまうことも。
結果的に、自分の心が疲弊し、ストレスや不安が増加し、日々の業務だけでなく、生活の質そのものに悪影響を及ぼすことがあります。
たとえば、ある日、患者さんのケアにおいてうまくいかなかったことがあった場合、その一つの出来事に捉われてしまい、他の良い出来事や成果が見えなくなってしまうことがよくあります。
このような状態では、自己評価が低下し、さらなるストレスを引き起こしてしまいます。
認知のスイッチを切り替える大切さ
一日の中には、ポジティブなこともネガティブなこともたくさん存在しています。
しかし、ネガティビティバイアスが強く働くと、ポジティブな出来事が見逃されてしまいがちです。だからこそ、意識的に“認知のスイッチ”を切り替え、良いことや恵まれていることに目を向けることが大切です。
たとえば、患者さんの小さなよい変化に気づいたときやケアがうまくいったと感じたとき、その瞬間をしっかりと自分の中で認識し、喜びや自分へのねぎらいの気持ちを感じる時間を持つことが効果的です。
これが、「自分を大切にする」練習です。医療従事者として日々忙しい中で、自分の頑張りに気づき、認めることが、心の安定を保つために重要です。
自分自身のケアを忘れずに
真面目で親切で、一生懸命な方々は、他者をケアすることに集中し、自分のことを後回しにしがちです。
しかし、日々の中で自分の頑張りに気づき、それを認めることができれば、「もっと頑張らないと認められない」という思考パターンから解放されることができます。
私たちは、世界にたった一人のかけがえのない存在です。他者をケアする大切な仕事をしているからこそ、自分自身のケアも忘れずに取り入れていきましょう。
少しでも気持ちが軽くなり、ウェルビーイングを高めることができるよう、日々の中で自分に向けたポジティブな視点も意識していきたいものです。
まとめ
ネガティビティバイアスは、医療現場で非常に役立つ一方で、私たち自身の心に負担をかけることもあります。
日々の中で自分の感情に気づき、ポジティブな視点を持つことで、自己ケアを怠らずにいられるようになります。
他者のケアだけでなく、自分自身にも優しく向き合い、ウェルビーイングを大切にしていきたいですね。
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