なぜケアする人のためのケアに取り組む必要があるのか?
看護師の仕事を辛いと感じている看護師は多い
私が事業の必要性を感じたのは、最前線で感染患者に向き合う医療従事者が、日々自分が感染するのではないか、誰かに感染させるのではないかという不安を抱え、献身的に職務に就いていながら一方で偏見や差別に遭う事態を見過ごせないと強く思ったからです。
看護師や医師など医療従事者や職員は、未知のウイルスによる感染の不安だけでなく、感染患者が発生した病院のスタッフというだけで、子どもが保育園や学校での偏見や差別に遭い、その責めをも自分たちが負わないといけない現実がありました。
行きつけの美容室で予約をやんわりと断られた人もいます。今でこそ、新型コロナウイルスに対する理解が進み、そうしたあからさまな偏見は減ってきてはいますが、精神的な負担は軽くはなっていないでしょう。
私が看護大学教員として関わった卒業生たちも、看護師はつらい、辞めたいという気持ちを吐露してくることもありました。
看護師はつらい、辞めたいと吐き出すのはコロナ渦に限ったことではないと思います。
医療従事者も人間です。生活もあり家庭もあります。
生活や家庭が順調な時は問題にならないことも、何か起こると他者への献身だけでは疲弊してしまう現実があっても無理はないと思います。
質の高いケアを提供するためには、医療従事者自身も幸せで健康であるということが必要で、自分も健康で、仕事にやりがいや生きがいを感じ心地よく生きられるよう個人をサポートしたいと思います。
医療従事者の勤務環境を改善させる取組が不可欠
人をケアする医療従事者が、自身の抱える問題に対する気づきを得て自己理解を深めたり、行動変容したりすることへの手助けをできたら、今の自分自身を受容できるようになり、自己肯定感や自己効力感が高まります。
また、大切な人と豊かで幸せな関係を築いていくことで、様々なストレスの緩和をもたらします。
さらに、人間関係が起因となる事故防止、医療従事者のバーンアウトの予防や離職率の低下など組織的な問題解決につながると思います。
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